2021年1月16日より、大丸松坂屋のクレジットカードが大幅リニューアルしました。
今回は世に言う外商カードにあたる「大丸松坂屋お得意様ゴールドカード」のリニューアル内容について記録していきます。
目次
[お知らせは突然に]
9月のある日に届いた1通のDM。
いつもよりちょっと高級感あるオーラからいいお知らせかもと期待しましたが、同封されていたお手紙を見て、そんな期待はあっという間に打ち砕かれます。
2021年3月10日のお支払い分より年会費を改定させていただきます。
お手紙を開いてパッと目についたのが、この1文。
大変心苦しいそうで、一体どう変わるのか、利用者にとって新・年会費相当の価値を見いだせるのか、順番に見ていこうと思います。
[不穏な空気は感じていた]
と、その前にちょっとイントロの補足。
お得意様ゴールドカードは大丸松坂屋のハウスカード(古い意味で)としては最高峰のカードとして大丸松坂屋はもちろん提携施設等でも様々な特典がありますが、特定地域へのポスティングや企業単位の営業による大規模インビなどにより想像以上に簡単に発行されるケースも多く、「日本一発行されやすい外商カード」とウワサをされて久しいです。
そんな中、ここ最近、
- 担当者制の一部廃止
- 優待施設の減少
- 駐車場優待の改訂・廃止
- カラット制度の導入(アプリ)
と、アレアレ??と思うことが続いており、マリオットボンヴォイエリートよろしく、利用者が増えすぎちゃっているのかな?的な不穏な空気は感じていました。
[リニューアル内容をチェック]
[対象カード]
現在大丸松坂屋で発行されている全てのクレジットカードが対象です。
全てのカードの年会費が改定されます。(後述)
[デザイン]
カードのデザインについては、色はこれまでと同じゴールドがベース。
クレジットカードというよりはポイントカードや電子マネーに近い雰囲気。
従来の「百貨店のカード」感はなくなり、個人的には好きになれそう。
右下の王冠のマークはお得意様カード限定デザインです。
ちなみに現行カードのデザインはこんな感じです。
新デザインカードは2021年2月以降更新を迎える会員に順次郵送される予定。
2021年2月以降、更新日を待たずに新カードへ切り替える事は可能ですが、発行手数料がかかる場合があるそうです。
筆者は切り替え前の更新となり現デザインのままですが、新デザインカードに変えるかは未定です。
[年会費]
まずは、気になる年会費の改定を見ていきます。
年会費についてはリニューアルに関するパンフレットの巻末に小さく書いてありました。最大のネガティブポイントは最後に、という感じです。
年会費の改定はリニューアルから2ヶ月後の3月10日以降(4月引き落とし分から?)です。
年会費1万円+税・家族カード有料・・・だと?!?!
これまでの年会費は3,000円+税・家族カードは無料(枚数制限なし)でした。
それが、急に1万円です。
従来の年会費3年分に一気に値上がりとはなかなか強気。
しかも、「年間70万円以上お買い上げで年会費無料」も廃止されます。
これだけ値上げするなら、利用実績で年会費免除はむしろ販促になりそうな気もするけど・・・よくわかりません。
ちなみに、他のカードも年会費の値上げがあります。(いずれも税抜き価格)
- 大丸松坂屋ゴールドカード
(旧)7,000円→(新)10,000円
(旧)1,000円(初年度無料)→(新)2,000円(初年度・学生無料廃止)
家族カード(旧)無料→(新)250円+税
エントリークレカあるあるの「初年度年会費無料」を完全撤廃。
さらに値上げで、こちらも利用実績による年会費優待はなしです。(元々なし)
これだけで解約を検討してしまいそうですが、一旦落ち着いてリニューアル内容を見ていきます。
[リニューアルの2本の柱+α]
リニューアルによるメリットとして2つの新サービスが誕生するようです。
順番に見ていきます。
[QIRAポイント]
今回のリニューアルで何がしたかったかというと、もうこのQIRAポイントに尽きます。
従来の大丸松坂屋ポイントとは別に、新たにQIRAポイントというJ.フロント独自ポイント制度がスタートします。
まだ、これだけしかわからないので、現時点でのQIRAポイントのメリット・デメリットを列挙していきます。
メリット
- 常に大丸松坂屋ポイントとQIRAポイントの二重取りができる
- ご優待割引にもポイントが付くようになる
- 優待セール・特選ブランド(ハイブランド)も対象に
- カード会社加盟店でも100円1pt付与されるので準メインカードにできるかも
- ポイント移行の幅が広がり、日常使いでの利用の幅が広がるかも
デメリット
- 優待アップデーの優待率が+3%→+1%に変更
- ポイントレートが不明
- QIRAポイントの付与がクレジット払い限定。
- 移行交換が1,000ポイント(10万円相当)からと気軽さが感じられない
ざっくりこんな感じだと思います。
ポイント加算される場面が飛躍的に増えることとなり、おっ!と思うメリットはあるものの、優待アップの改悪、QIRAポイントがぶっちゃけ使いづらそうと不安な面が強い印象。
QIRAポイントがクレジット払い限定となると商品券で決済したい時は通常通り大丸ポイントしかつかないのでなんかもったいな気分...
で...特に優待アップの改悪は、やる気ある?とクレーム入れたくなるレベル。
年会費爆上げかつ優待の実質廃止?顧客なめとるのか、と。
ちなみに利用実績(税込)による次年度累進優待は維持されます。
優待率は以下の通りです。
- 70万円以上:10%
- 30万円~70万円未満:8%
- 30万円未満・初年度:5%
- 除外品・セール品・食品:1%(1%商品に優待アップの適応なし)
この優待率に+3%だったのが、+1%になるので利用実績が少ないと「実質免税orそれ以上」ではなくなり、「優待アップデーだからちょっと寄って行こ」がなくなると思います。
ポイント還元より現金値引きの方が目に見えるのでこれがなくなるのは残念。
ポイント移行レートが明らかに!!
QIRA専用サイトがオープンし、ポイントやギフトに交換できる内容が明らかとなりました。
やはり1,000ポイントがベースの交換単位になるよう。
10万円使って1000円分か...
というのもオリジナルの大丸・松坂屋ポイントは100円(本体価格)につき5ポイント付与され、ポイント付与後は即時1ポイント=1円として利用できます。
コンビニのポイントカードと同じ感覚です。
もともとこのシステムがあるので、QIRAの使いずらさがより目立ってしまう...
てか、優待率下げるなら、どっちかのポイントにお得意様カード限定のポイントアップ制度導入して差別化してほしいな。
例:お得意様は大丸・松坂屋ポイント100円につき+1ポイント とか。
補足1:アーバンドミナント戦略
J.フロント リテイリングの「アーバンドミナント戦略」と新ポイントプログラム
J.フロント リテイリングは、大丸・松坂屋やパルコなどの店舗を核にエリアの魅力を最大化し、地域とともに成長する「アーバンドミナント戦略」の取り組みを、心斎橋、京都烏丸、神戸元町、名古屋栄、上野御徒町の 5 つの重点地域で進めています。単に自社店舗の売上を伸ばすのではなく、周辺開発の推進や地元と連携したイベントを開催するなど地域に新たな賑わいを創出し、地域と共に、中長期的な企業価値の向上を実現しようとしています。
QIRA ポイントは、将来的には、JFR グループのポイントとして、大丸・松坂屋や JFR グループの他の店舗、エリア内の提携店舗でお得にお使いいただけるポイントプログラムを目指しています。エリアの中で QIRA ポイントをお得に利用できる場面を増やすことで、来街者と地域の店舗を結び、顧客の購買行動を域内に誘導・循環させていく役割を果たします。
新ポイントプログラムの導入は、グループのアーバンドミナント戦略を支える顧客戦略と位置づけています。
(PR TIMES掲載プレスリリースより)
J.フロント リテイリンググループの新ポイントプログラム「QIRA[キラ]ポイント」誕生|株式会社 大丸松坂屋百貨店のプレスリリース
補足2:GINZA SIXで優待利用可能に!
旧松坂屋銀座の跡地に開業した、GINZA SIX。
大丸松坂屋が運営に関わっていますが、大丸松坂屋カード優待が使えない特別な店舗でした。
ところが、2020年10月1日からお得意様ゴールドカード限定で以下8ブランドで5%優待割引が使えるようになりました!また、上記の年間お買い上げ実績の加算対象にもなります!
これは地味にすごい。(個人的にsnow peakが加盟して欲しかった笑)
気になるのはお知らせの注記に「※その他のサービスにつきましては、担当係員にお問い合わせください。」との記載があること。
なんなのか気になる〜
[新規優待サービス]
これまでもゴールド会員向けのレストラン・宿泊・舞台の優待やJ.フロントの「JFRカードクラブオフ」という福利厚生サービスによる日常生活で使えるクーポンなど各種優待が充実しており、よく利用しています。
大丸松坂屋カードクラブオフ/会員特典・優待サービス(旧名称:JFRカードクラブオフ)
今回、おいしい・きれい・あそぶをテーマにプレミア系の優待サービスの幅が増えます。
[プレミアムテーブルby招待日和]
アメックスやダイナースの上級カードに付帯していることで有名な招待日和がお得意様ゴールドカードにも付帯することになりました!
2名以上の利用で1名分のコース料理無料と、高級レストランを少し気軽に利用できる「高級レストラン試食プログラム」です。
ただ、これにはデメリットもあります。
- 加盟店のうち100店舗以上が東京都内
もちろん大阪・京都にもそれなりにあるとは思いますが、現在詳細がわからないのでどれくらい魅力的なお店があるかは来年1月までわからないです。
- 毎月先着400組限定
これが一番気になります。
単純計算で1日平均13組程度が上限。
全国で13組ですからあっという間です。繁忙期は争奪戦になりそう。
気になるプログラムですが、どれほど使えるかは不明です。
[大地を守る会]
有機野菜・自然食品のサブスク配送サービス「大地を守る会」の初回限定セットの割引優待があるそうです。
ただ、調べてみると元々1,980円のセットなので「割引優待」されてもあまりインパクトはありません。
[人間ドック割引]
人間ドックは保険の効かない自由診療です。
相場は5万円前後ということなので最大30%割引が利用できる施設であればかなりお得です。
実際の優待率の平均がどれくらいになるかが問題です。
[ヘリコプタークルージング割引]
ヘリのクルージング、チャーターの利用料金が優待になるそう。
ヘリをよく使う人は免税程度の割引は気にも留めないでしょう。
[空港系サービスは維持]
これまで利用できた、空港宅配サービス、空港のカードラウンジ無料、Visa限定のグローバルWiFiレンタル割引は継続して利用できます。
カードラウンジの利用料は国内線の場合1,200円/名くらいです。
[カード付帯保険など]
[タッチ決済]
昨今の情勢らしい謳い文句が書かれていますが、最近のトレンドです。
せっかくの便利機能なのに、現時点で肝心の大丸・松坂屋では利用できないというなんでやねん状態です。
優待とは関係ないので、まぁ使えるようになったら教えてねって感じです。
[カード付帯保険]
幸い筆者らは利用したことはありませんが、カード付帯保険は安心の内容。
今回のリニューアルで家族特約・遅延補償・手荷物補償が追加されました。
ただし、SPGアメックスの付帯保険の方がキャンセルプロテクションは強く、昨今の情勢下では目立って良い内容というわけではないです。
お買い物保険はこれまで通り。90日以内になんか起るなんて経験ないですが、海外での買い物にも対応しており、海外での盗難・破損に対しての適応がベタかなと。
[駐車場優待に変更はなし]
昨年11月に京都店・神戸店で駐車場優待の改訂がありました。
今回のリニューアルに伴った新規の駐車場優待改定は無いようです。
ちなみに、提携駐車場のある店舗のうち、現在駐車場優待が利用できない店舗は以下の3店舗です。
詳しくはこちらをご覧ください。
starwave-disneyandtravellife.hatenablog.com
大丸松坂屋の提携駐車場の料金相場はおよそ600円台/1時間です。
大丸は百貨店他社と違い、「お買い上げ実績に関係なく」駐車場優待が利用できますので、日々の小さなお買い物(5000円未満)でも気軽に車を停めて、ゆっくりお買い物したい方にはオススメです。
[年会費が自分に見合うか計算してみる]
新サービスの利用価値・頻度がイマイチわからないので、従来通りの使い方で考えてみます。
大丸松坂屋ゴールドカードを持っていて一番利用頻度の多い特典は何と言っても、都会の一等地でいつでも数時間無料で車が停められる駐車場優待と、カード空港ラウンジの利用。
これまでは、そもそも年会費が安すぎて考えてもいませんでしたが、駐車場優待と空港ラウンジ合わせて年数回利用していれば十分年会費の元が取れました。
メインの百貨店利用では、ベースの5%優待+優待アップ3%を利用したとして、4万円程度利用すれば十分でした。
子供服や贈答品を細々買えば一瞬です。
どう考えても、年3000円で、駐車場・ラウンジ無料とお買い物も基本免税価格は破格。
「保有しているだけでお得」でした。
↓
これからは駐車場優待で6~9回/年、ラウンジで9回/年程度で新年会費相当となります。
百貨店利用は5%優待で優待アップ+1%となり、17万円ほど利用すれば年会費相当の優待を受けられることとなります。
大丸松坂屋だけを利用する場合、年数回、提携駐車場に止めて、大丸松坂屋をご贔屓にお買い物していれば依然としてお得なカードであることには変わりありません。
が、どうしても「普通に使っていれば年会費分はペイできる」程度になってしまうので、既存会員的にはやはり魅力減は避けられません。
→もちろん平時であれば、筆者の場合、お買い上げ&駐車場&ラウンジ利用で年会費相当以上のベネフィットは優に享受していましたが、昨今の情勢下では百貨店・空港ともほぼ利用しておらずこれらで年会費相当を回収するのはちょっとがんばらないといけない。(もちろん来年度には状況がよくなっていることは期待している。)
一方で、新サービスの招待日和や人間ドックの優待利用の状況によっては百貨店利用が減ったとしても年会費以上のベネフィットを容易に享受できる、かもしれない。
が、それなら別に大丸松坂屋カードにこだわらなくてもいい。
というわけで今後の百貨店利用の頻度とリニューアルのさらなる詳細がわかるまで様子見でいこうと思います。
[そんな中・・・]
解約も視野に・・・とかいっているそんなタイミングで実は外商顧客を担当する「お得意様営業部」から連絡があって、
「今後お客様を3名の担当者が担当します。今後ともご愛顧のほどよろしくお願いします」と。
え?
先述の通り、最初は1顧客当たり1名の担当者が担当してくれていましたが、システムの変更でここ数年は担当者というのがなく、チャットか電話でその時対応してくれた方とやりとりする感じでしたので、担当者時代と比べて愛想のない感じでした。
が、ここにきてなぜか担当者がつくと。しかも利用実績が低い私なんかに。
年会費うんぬんの前にお得意様というのは人と人とのお付き合いですから、うまいタイミングでその心理をつかまれ、悩ましさ倍増の9月末です。
(早速、新しい担当者さんと相談・商談をしましたが、やはり安心感あるしスムーズでいいですね。)
[追記欄]
2021年2月現在、新ポイント制度についてのアップデートはありません。
↓リニューアル内容の最新情報についてはこちらから↓
[余談]
外商カードを得るには
世間的一般に百貨店の外商カードというのは高嶺の花で、百貨店での相当額の年間利用実績かつ年収1,000万円以上の顧客に招待の声がかかる。というのはよく聞く話で自分もそう思っていました。
もちろん利用実績を積むことがプロパーですが、一概にそういうわけではありません。
冒頭触れたように、大丸松坂屋の場合は若い層の新規顧客の獲得に躍起で、「お得意様にしてあげますよ」というステータスを餌に営業エリアの官公庁、企業、病院などに大規模インビをしていますので、タイミングさえあえば一般的な条件を満たしていなくても外商カードをゲットできます。・・・というのは昔の話で、
今やWEBで誰でもエントリーできます(驚)
こちらの自己エントリーの審査の通りやすさは不明ですが、外商カード保有者からの紹介制度で作れたり、他社の外商カードを持っていると声が掛かりやすいという話も聞きます。
そういう筆者はご縁があって、大卒すぐに大丸側からお誘いをいただいたので、正直に利用実績ゼロ・収入ゼロで申請しましたが2週間程度であっさり発行されました。
実は、こういうのはダイナースなどのプラチナカードも同様で、同社の下級カードすら持っていなくともインビが来ることがあります。(年会費高すぎで保有していません)
利用実績がなくともクレカを発行したら、顧客になってくれそうなターゲットの職業・世帯は黙っていても企業側から声をかけてくれる。そういう一面もあるという話でした。
世代的にも百貨店とは無縁の生活をしていましたので、ハウスカードを持つことでどうしても百貨店を訪れる頻度が増えて、百貨店の使い方や百貨店のある生活がわかるようになりました。そういう点については、社会的な知見を広げることができたので良かったとは思っています。
ただ、百貨店のお得意様になったり、プラチナカードホルダーになるということはそれなりの出費とお付き合いが必要になります。
年会費改定や昨今の状況を踏まえて一度落ち着いて考えてみると、自分の生活スタイルに合っているかどうかでそのカードを保有することが大事だなと考えさせられました。(外商の場合、なにより日常生活圏内に対象百貨店があることが大事)
[総括]
2021年1月にリニューアルする大丸松坂屋カードについて記録していきました。
現会員からすれば、世紀の大改悪。
新規会員からすれば、依然お値段以上の価値はあり。
かもしれません。
QiRAポイントの設備投資のための年会費改定、QiRAポイント利用促進のための優待改定と受け取らざるを得ず、このQiRAポイントが顧客にとって使いやすい、いいサービスになってほしいと願うばかりです。(案の定、苦戦しているようで利用促進メールが頻繁に来ます)
まだ第1報の段階で詳細不明ですので、良し悪しの判断は時期尚早と思っています。
が、3,000円→10,000円への年会費爆上がりは衝撃的でした。
お値段に見合った「ご期待以上の価値」をお届けしていただけるようがんばっていただきたいところです。